ブラッディ・ロマンス。【短編】

雛野は大人しい女子で、ほとんど話したことがなかった。


ただ、そう。


笑顔が印象的な女の子だ。



何がそんなに楽しいことがあるのか。


不思議なくらい、笑ってる顔をよく見た。



彼女の笑顔、オレは嫌いじゃない。


雛野の笑い声が聞こえると、オレまで楽しい気分になるんだ。



でも、今日は笑ってはいても、無理をしている感じで…。


「大丈夫?」


あらためて、尋ねた。



「…大丈、夫じゃ…ない」


切れ切れにしゃべる雛野は本当にしんどそうで、オレの心は痛んだ。


だけど…。

< 76 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop