ブラッディ・ロマンス。【短編】
吸血鬼なんて人種はそうそういないと思うけど、
常に首筋に小さな傷のあるヒナは狙われやすい。
どんなに小さくても、傷口から血の香りが強くするんだ。
無傷の人間の何十倍も香り、それは強い誘惑となる。
衝動を抑えられない場合もあるかもしれない。
そこで、オレは自分の唾をヒナに飲ませて、オレの匂いを付けてる。
他の吸血鬼が手を付けてる人間には手を出してはならない。
それが、オレたちのルールなんだ。
唾を飲ませるって言っても、本当に飲ませてるのではなく、
舌と舌をからめて、オレの唾液をヒナの舌に移す。
ごくごくわずかではあるが、ヒナが無意識に唾を飲み込めば、マーキング完了だ。