ブラッディ・ロマンス。【短編】
そうして迎えた二学期初日。
オレは鼻歌を歌いながら、校門をくぐった。
毎日学校があれば、血を吸う日ではなくても、彼女に会える。
そのことがどうしてかオレの気分をあげる。
足取り軽やかに校舎に入り、廊下を進むと、
「響くん」と呼びかけられた。
振り向いた先には、顔を真っ赤にした女子が立っていた。
顎の下で切りそろえた髪に、小さな顔立ち、大きな瞳、小さな口。
同じクラスの柏木だ。
男子から、可愛いと評判の女子。
「…あの、ちょっと、いい?」
柏木は恥ずかしそうにうつむきながら、言った。
オレは「ああ」と答えながら、マズいなと思う。