ブラッディ・ロマンス。【短編】

このシチュエーションには覚えがあった。


できれば避けたい。



途端に重くなった足で彼女について、階段を上ると、

屋上へ通じる扉の前で彼女は振り返った。



…来たか。


そんなことを思ってしまう。



この学校は屋上へ入れない。


だから、目の前の扉は開かないけど、

開かない扉目当てで4階より上に来る人は少なく、生徒の間では秘密の話に扉の前を利用していた。



つまり、柏木も人には聞かれたくない話があるということ。



「あの、好きなんです。付き合ってもらえませんか」

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