ブラッディ・ロマンス。【短編】

柏木はオレの姿をみとめて、踊り場まで下りてくる。



「お願いがあるの」


向かいに立つなり、柏木は言った。


その顔は思いつめてて、オレは嫌な予感がした。




「あたしを抱いて」




オレは、響いた声に驚いた。


何か言う間もなく、柏木は俺の胸に飛び込んできた。


とっさに、その体を受け止める。



「響くんがあたしを好きじゃなくてもいい。付き合ってくれなくてもいい」


柏木はオレの制服をぎゅっと掴んだ。



「一度でいいから、響くんの特別になりたい」

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