ブラッディ・ロマンス。【短編】
「柏木…?」
オレは引き離すつもりで、彼女の両肩を掴むと、震えが伝わってきた。
細い肩を小刻みに震わせてる。
思わず、その背に腕を回す。
「ごめん、好きでもない子を抱く気はない」
言いながらも、柏木から感じる血の香りにたえていた。
彼女はヒナじゃないのに、血の香りに惑いそうになる自分が心底、最低に思えた。
柏木は、「いや、いや」と首を振る。
「響くん、好きなの」
「…柏木」
首が揺れると、一層、鼻を刺激する。
柏木のブラウスは2番目のボタンまで外されていて、
首から鎖骨にかけて、目に入った。