ブラッディ・ロマンス。【短編】
だから、ヒナが笑って、「用事があったの、ごめんね」と言ってくれるのを待つ。
だけど、ヒナはオレの手をふり払うと、何も答えずに教室を出た。
…逃げられた?
「…ヒナッ!!」
オレはすぐに追いかけ、彼女の肩を掴む。
ヒナの体を引っ張って、向き合わせると、その瞳を見つめようとした。
だが、ヒナはうつむいて視線をそらした。
「それで、なんで先に帰ったんだ?」
オレがもう一度問いただすと、
少し考え込んだヒナは何か決心したのか、唇をかみながら顔をあげた。
「あたしはもう必要ないと思ったから」