ブラッディ・ロマンス。【短編】
オレはお手軽にドラキュアの衣装。
黒いスーツを着て、マントを付ければそれらしく見えるってもんだ。
一応は手作りの衣装ってルールだから、マントだけ母親に作ってもらった。
で、それを着てみたら、女子にほめられ、騒がれ…。
でも、オレはどんなに女の子にほめられても、うれしくない。
オレが欲しいのは、たった一人の女の子。
黒いワンピースを着て、友達としゃべっているヒナだけだ。
そんなオレの願いが届いたのか、彼女と目があった。
だけど、すぐにそらされてしまう。
歯をくいしばった。
立ち上がって廊下に向かうその背中を、オレの瞳は見えなくなるまで追っていた。