ブラッディ・ロマンス。【短編】
パーティーが始まってしばらくは体育館で笑っているふりをしていた。
だけど、我慢できなくなって、とうとう抜けだした。
今日はハロウィン。
聖なるものが苦手なオレには体がキツい日だ。
さらに、この会場にはたくさんの人がいて、血の香りもすごい。
飢えで、体調が悪くなるばかりだ。
特に、どこにいても香ってしまうヒナの血の匂いが、オレの理性をなくそうとする。
そうなる前に、ここを離れなければ。
クラスに戻って、誰もいない教室を歩く。
オレの足は夏にヒナにキスされた席に向かっていた。
机に触れ、あのときのキスを思い出す。
ここから、すべてが始まったんだ。