ブラッディ・ロマンス。【短編】
この席はもうオレの席ではないけど、ここにいたい。
オレはその机に座り込み、口を手で覆って、うつむき加減で体を落ち着かせた。
だけど。
ようやく落ち着いたと思った心は、足音とともに近付く血の香りに反応する。
オレの血が騒ぐ。
扉を隔てていても、
遠くにいてもわかるくらい、
オレは彼女の血に飢えていた。
「神藤くん…!」
ガラガラッと音を立てて扉が開き、
その向こうからヒナが飛び込んできた。