ブラッディ・ロマンス。【短編】
オレは体を動かす余裕すらなく、瞳だけで彼女を見た。
薄く笑う。
「やっぱり見つかっちゃたか」
ヒナの血の香りのしない場所に逃げたって、きっと隠れきれない。
ヒナは、オレがどこにいてもわかるかもしれないと思っていたんだ。
彼女は意味がわからなかったのか、眉を寄せた。
「やっぱり…?」
「他の吸血鬼に狙われないよう、オレのものって印のマーキングをヒナにしてるんだ」
「マー…キング?」
言葉の意味をかみしめるように、ヒナは繰り返した。