だいすき
向かいの椅子に座る加奈子は、認めようとしないあたしの机をバンバン遠慮なく叩いてくる。
「ほら、教主さん見てるって」
“教室の端に立つ教室の主”の略である、切れ長の目に薄い唇、さらさらの髪の毛にすらっとした足の、教主さん。
机を叩く加奈子を不思議そうに見ている。
不思議そうというか、迷惑そう。
今にも“黙りなさい!”っとでも言いそうな。
『教主さんとかどうでもいい!でぇ?安達くんと付き合わないわけ?』
「だって…、無理だし」
『この間までさ、告るとか言ってたじゃん』
「今はもう無理だって」