木漏れ日差す丘で
「鈴!!」
思わずかけよって鈴を抱き起こした
そんなことしていいのかなんてわからない
でも、それしか出来なかった
「・・・・た、く?」
「鈴?!しっかりして」
「・・よか、た・・・・・も、会えないかと・・思った・・」
苦しそうな笑顔のまま言葉が紡がれる
「なに、いってんのさ、いつでも会えるよ!明日から一緒に学校行くんだろ?」
必死で言う言葉は震えていて情けない
抱き抱えている体から熱が消えていくのが、わかってしまった
「ごめ・・ね・・・・がっこ・・」
「いいよ、謝らなくていいから・・無理にしゃべらないでいいから」
話そうとする鈴を止める
遠くから救急車の音が聞こえてきた
「お願いだから、生きてよ。鈴が好きなんだ!一緒にいてよ・・」
表情が少し強ばってすぐに緩む
きっと驚いて、それから笑ったんだと思う
鈴が言おうとしてるなにかが、大きくなったサイレンにかき消される
僕は耳を近づけれるだけ近づけた
「・・私、ことす、きで・・れて・・・りが、と・・」
思わず鈴の顔を見た僕の口に、鈴のが軽く触れた
色の違う左右の瞳が優しく揺らいで、ゆっくりと閉じていった