この世の果て
同じ派遣会社で、同じ日に入社したが、働く工場は違う藤田さんに電話してみた。

「元気にされてますか?」

「元気にしとるで。野村くんは元気にしとるか?」

「元気ですけど、腰を痛めて辞めたいですわ。」

「そうか。わしも、給料が少ないから辞める」

「そうなんですか?」

「そうよ。すぐ仕事の段取りしないといけんのよ。」
「藤田さんも、大変すね。」

「まぁ、野村くんも頑張れよ。」

「はい。また、電話します」


最初はこんなやりとりだったが、二週間後に電話したら、偶然にもお互いが広島で仕事してた。

藤田さんは派遣会社を辞め、夜の世界・水商売を始めたらしい。

元々、派遣社員は繋ぎとして考えてたし、腰の具合も良くならない。

藤田さんに、水商売の仕事を紹介してもらう事になる。

この世の果てを見る事とは知らずに。
< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop