Limiter
これで名実共に、聖司は「前の」担当となる。
電話番号とメールアドレスだけで繋がっていたホストと客という関係は、完全に切れた。
どうせ聖司からは1ヶ月以上、何の連絡もきていなかった。
それなのにいつまでも未練を残しているのもバカバカしい。
今私にはハヤトという担当が居る。
もう他の担当はいらない。
聖司との関係が切れたことで、私はあることに気付いた。
来月の9月に、聖司のバースデーイベントが「Prism」で行われる。
それに向けて私は貯金をしていた。
しかしもう聖司は切ってしまった。
だったら今ここでそのお金をハヤトに使ってしまおうか?
だったらいっそのこと、ラスソンを狙ってしまおうか?
この時の私はもはやいいだけ酔っていて、
正常な思考回路など持ち合わせていなかった。
ホストクラブとは不思議な空間だ。ある意味、魔の空間だと思う。
非日常を演出し、お客さんを簡単にトリップさせる。
それが楽しい。それこそがホストクラブの醍醐味なのかもしれない。
何の脈絡もなく私は突然ハヤトに、
「今日はラスソン狙うよ!」と宣言していた。
驚いて戸惑うハヤトをよそに、私は何のボトルを入れるかを考え始めた。
どうせ入れるなら飾りボトルが良い。
大勢のホスト達に飲まれて一瞬で無くなってしまうシャンパンよりも、
ずっと卓に置いておける飾りボトルの方が私は好きだった。
言ってしまえば、ただの貧乏性で見栄張りで目立ちたがり屋なだけである。
飾りを入れるなら、私が一番好きなドルフィンが良いな。
そう思ってハヤトにメニュー表を見せてもらった。
ドルフィン 150,000円
思わず目を疑った。
「Prism」より5万も高い…。
同じススキノのホストクラブで、系列も同じなのに、こんなにも値段に差があるとは。
でもどうしてもドルフィンを入れたい。
昼職で、月の給料なんてこの店のドルフィンより安いのに。
完全に魔の世界にのまれていた。
聖司のバースデーのために貯めていた貯金の金額を思い出す。
15万ぐらいまでならなんとかなるかも…
いや、何とかさせる…!
酔った頭でそれらを一瞬にして考えた。
電話番号とメールアドレスだけで繋がっていたホストと客という関係は、完全に切れた。
どうせ聖司からは1ヶ月以上、何の連絡もきていなかった。
それなのにいつまでも未練を残しているのもバカバカしい。
今私にはハヤトという担当が居る。
もう他の担当はいらない。
聖司との関係が切れたことで、私はあることに気付いた。
来月の9月に、聖司のバースデーイベントが「Prism」で行われる。
それに向けて私は貯金をしていた。
しかしもう聖司は切ってしまった。
だったら今ここでそのお金をハヤトに使ってしまおうか?
だったらいっそのこと、ラスソンを狙ってしまおうか?
この時の私はもはやいいだけ酔っていて、
正常な思考回路など持ち合わせていなかった。
ホストクラブとは不思議な空間だ。ある意味、魔の空間だと思う。
非日常を演出し、お客さんを簡単にトリップさせる。
それが楽しい。それこそがホストクラブの醍醐味なのかもしれない。
何の脈絡もなく私は突然ハヤトに、
「今日はラスソン狙うよ!」と宣言していた。
驚いて戸惑うハヤトをよそに、私は何のボトルを入れるかを考え始めた。
どうせ入れるなら飾りボトルが良い。
大勢のホスト達に飲まれて一瞬で無くなってしまうシャンパンよりも、
ずっと卓に置いておける飾りボトルの方が私は好きだった。
言ってしまえば、ただの貧乏性で見栄張りで目立ちたがり屋なだけである。
飾りを入れるなら、私が一番好きなドルフィンが良いな。
そう思ってハヤトにメニュー表を見せてもらった。
ドルフィン 150,000円
思わず目を疑った。
「Prism」より5万も高い…。
同じススキノのホストクラブで、系列も同じなのに、こんなにも値段に差があるとは。
でもどうしてもドルフィンを入れたい。
昼職で、月の給料なんてこの店のドルフィンより安いのに。
完全に魔の世界にのまれていた。
聖司のバースデーのために貯めていた貯金の金額を思い出す。
15万ぐらいまでならなんとかなるかも…
いや、何とかさせる…!
酔った頭でそれらを一瞬にして考えた。