Limiter
「ドルフィン入れたい」
ハヤトにそう言うと、彼は内勤に在庫の確認をするためにキャッシャーへ向かった。
ハヤトが卓から離れてすぐに、この店の支配人がやってきた。
いきなり幹部がやってきたことに私はかなり驚いた。
そのまま支配人は他のヘルプと同様に向かいのヘルプ席に座り、
他のヘルプと同じように差しさわりの無いことを喋って卓を盛り上げ、
ヘルプとしての仕事を淡々とこなしていた。
常連客でも何でもないのに、いきなり幹部が着くのはおかしい。
何か怪しいという思いは頭の片隅にあったが、
支配人の絶妙なトークに引きこまれ、しだいと不審な予感は影をひそめていった。
しばらくしてキャッシャーからハヤトが戻ってきた。
「ドルフィンの在庫無いって…」
残念そうに言いながら、ハヤトは右手に持っていたメニュー表を開いた。
「でも私ドルフィンじゃないとヤダ…。他に入れたいの無いし」
ハヤトと二人でメニュー表を見ながら話していると、
それまで静かに様子を見守っていた支配人が、すかさず会話に入ってきた。
これもまた絶妙なタイミングだ。
「なになに? 俺も入れて!」
「ドルフィン入れたいんだけど、在庫が無いって…」
私がそう言うと、この人は口から生まれてきたのではないか?と思うほど、
よく滑るその口で一気にまくし立ててきた。
「だったらブックとシンデレラ3足はどう? ドルフィンだけ入れるよりも見栄えが良いよ!」
まるで最初から私がラスソン狙いでドルフィンを入れたいということを知っていたかのような話し方だった。
いや、間違いなく最初から分かっていてこの卓にヘルプとして着いたのだろう。
さすがホストクラブ。金を使う客への対応は素早い。
店ぐるみでの煽り。
ちょっと呆れたが、酔っていたのであまり気にしなかった。
改めて頭の中で金額の計算をしてみる。
この日はボトルフェアというイベントが行われていて、シンデレラなどのリキュール類が半額になっていた。
ブック1冊100,000円にシンデレラ3足45,000円。
合わせて145,000円也。
見事15万の予算内に収まっている。
ハヤトにそう言うと、彼は内勤に在庫の確認をするためにキャッシャーへ向かった。
ハヤトが卓から離れてすぐに、この店の支配人がやってきた。
いきなり幹部がやってきたことに私はかなり驚いた。
そのまま支配人は他のヘルプと同様に向かいのヘルプ席に座り、
他のヘルプと同じように差しさわりの無いことを喋って卓を盛り上げ、
ヘルプとしての仕事を淡々とこなしていた。
常連客でも何でもないのに、いきなり幹部が着くのはおかしい。
何か怪しいという思いは頭の片隅にあったが、
支配人の絶妙なトークに引きこまれ、しだいと不審な予感は影をひそめていった。
しばらくしてキャッシャーからハヤトが戻ってきた。
「ドルフィンの在庫無いって…」
残念そうに言いながら、ハヤトは右手に持っていたメニュー表を開いた。
「でも私ドルフィンじゃないとヤダ…。他に入れたいの無いし」
ハヤトと二人でメニュー表を見ながら話していると、
それまで静かに様子を見守っていた支配人が、すかさず会話に入ってきた。
これもまた絶妙なタイミングだ。
「なになに? 俺も入れて!」
「ドルフィン入れたいんだけど、在庫が無いって…」
私がそう言うと、この人は口から生まれてきたのではないか?と思うほど、
よく滑るその口で一気にまくし立ててきた。
「だったらブックとシンデレラ3足はどう? ドルフィンだけ入れるよりも見栄えが良いよ!」
まるで最初から私がラスソン狙いでドルフィンを入れたいということを知っていたかのような話し方だった。
いや、間違いなく最初から分かっていてこの卓にヘルプとして着いたのだろう。
さすがホストクラブ。金を使う客への対応は素早い。
店ぐるみでの煽り。
ちょっと呆れたが、酔っていたのであまり気にしなかった。
改めて頭の中で金額の計算をしてみる。
この日はボトルフェアというイベントが行われていて、シンデレラなどのリキュール類が半額になっていた。
ブック1冊100,000円にシンデレラ3足45,000円。
合わせて145,000円也。
見事15万の予算内に収まっている。