Limiter
私が頭の中で計算している間も、支配人はスラスラと台本があるかのように喋っている。
「ブックはまだこの店で誰も入れてないんだよ! 今ウチに在庫であるのは緑のブック。ここにブックとシンデレラがズラっと並んだらカッコイイよ~」

はたから聞いたらただの煽りだが、さすが支配人だけあって妙な説得力がある。
いや、ただ私が単純なカモ客だっただけなのかもしれないが…


ほどなくしてホストクラブの特徴の一つでもある、シャンパンコールが始まった。
何人かのホスト達が集まってきて、私の卓をグルっと囲む。

あんなにドルフィン以外入れたくないと思っていたのに、支配人の口車に乗せられて、
私はラストオーダーにブック1冊、シンデレラ3足を言われるがままに入れていた。
まったく上手く支配人に転がされてしまったものだ。

コールのレベルは「Prism」の方が上だったが、
それよりもハヤトにとって初めてのコールということが嬉しくて、
コールのレベルなどまったく気にならなかった。

そう。ハヤトはまだ一度もコールボトルをお客さんに入れてもらったことが無かったのだ。
つまり、私がハヤトに初めてコールボトルを入れた客ということになる。

なぜか勝ち誇った気持ちだった。
これもホストを指名するステータスの一つなのかもしれない。
今回初めて年下の新人ホストを指名し、
私のホストに対するハマりかたはますます深くなっていた。

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