友達の木
それから2年後の夏~
奈菜はあれから1度も帰っては来てくれませんでした。
アユカの姿も何日か前からか見えなくなり、美香はまた1人になってしまいました。
そして、奈菜のことを傷つけた自分を思い出し、とても悪いことをしたと改めて感じました。
美香はエゾヤマザクラの木の下に行くと、
「今年も暑くなりそうだなぁ。」
と呟きました。
それから、エゾヤマザクラに向かって奈菜とのたくさんの思い出話を聞かせました。
何時間たった頃でしょうか。
知らないオジサンたちがトラックから降りて、刃のとがった道具などを取り出し、木を切ろうとしました。
美香はやめさせそうとしましたが、子供の話なんかに耳を傾けてくれません。
美香は、1人ぼっちの不安と弱さから涙が出そうになりました。