将棋少女
髪の次は顔。
僕には掛ける言葉が見つからなかった。
……あれ?
そういえば保健医がいない。
室内を見渡してみたが、やはりどこにもいない。
「あの、先生はどこに」
「今は私の教室に行ってるわ。体育着取りに行くって言ってたもの。もうすぐ帰ってくるでしょ」
「そうですか。じゃあ待たせてもらいます」
返事は特になかった。
椅子に座り、なんとなく香歩さんの方を一瞥した。
腕や、足の細かく拭っていく。ただそれだけ。
会話はない。
スゴく、気まずい。
一応、チラリと一瞥はするけど香歩さんの心情を慮って出来る限り見ないようにはするけど。
そう思えば思うほど気になって仕方ない。
どっちつかずの思考は目に表れて、視線は忙しなく室内の端から端へと動き回る。
どうしてこんな時に限って具合なんて悪くなるんだろう。