将棋少女



「早く」


「い、いや、でもですね」


……なんで香歩さん、わざわざベッドの方に座り変えたんだ?


ていうか体を覆うタオルとベッドのせいで逆にいやらしく見える。


「あの、僕やっぱり……」


「先輩命令よ」


「……わかりました」


一応。ものすごく気を使って香歩さんを見ないようにして、僕も香歩さんの座るベッドに移動した。


近づいて再認識したけど本当にこの人の格好は心臓に悪い。


「えと、香歩さんの手番。ですか?」


「一応ね」


合わせた背中が、少し触れ合う。


……うぅ、心臓が爆発しそうだ。


「えと、香歩さん?」


沈黙が嫌で無意味に呼び掛ける。


……何だか視線を感じる。横目で見ると、香歩さんと目があった。



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