将棋少女
「……君も、私から目をそらすの」
……君も?
それは一体どういう意味だろう。僕以外にも人がいるのか?
「あの、香歩さん。そらすに決まってるでしょ?今の自分の格好わかってますか」
必死に頬を絞められながら香歩さんを見ないように目を離す。
「別に、私だって好きでこんな格好してる訳じゃない」
あ……。
それもそうだ。
失言だった。
そう理解するのに時間は必要なく、すぐさまそれは後悔と言う形で押し寄せる。
「えと、あの。ごめんにゃさい」
「別に」
フッ。と頬を挟んでいた力が抜け顔面は解放された。
「君が気にすることじゃない」