将棋少女



瞬間、ドアの開く音がした。見ればそこには白衣姿の女性。


保健医だ。


目を丸くして、ドアを開けた姿のまま固まっている。


そりゃそうだ。


僕だって保健室に半裸の女子と男子がベッドで二人一緒にいたら固まるもの。


けれど参った。この状況どう説明しよう。


「……えと、不純異性交遊は校則で禁止されてるよ?」


「違いますから」


まぁやっぱりそう見えるよね。


「違うの?」


顎に指を添え小首を傾げる。動作がどこか幼い。


「違いますよ。これはその、転んでこういう体勢になっただけです」


そう言うと香歩さんはゆっくりと体をどけてくれた。


やれやれ、僕も遅れて上体を起こし肩を回す。


結局、今のは何だったんだろう。


香歩さんの気まぐれか、はたまた冗談か。


けどそれにしては、どこか悲しそうに見えた。


それに小さ過ぎて聞き取れなかったあの言葉も気になる。


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