将棋少女



僕は香歩さんを一瞥した。


まるで能面のような無表情。さっきまでの事などさも無かったように。


「事故なら、まぁ仕方ないわね」


後ろ手に扉を閉め、保健医は何かを香歩さんに手渡す。


白い布製のバック。


「はい桂さん。遅くなってごめんね体育着」


あぁ。そう言えば『体育着を取りに行ってる』って香歩さん言ってたっけ。


渡されたバックは特にアップリケやプリントされてる訳でもなく本当に白。


なんだか簡素過ぎる気もするけど、まぁ香歩さんが可愛い感じのを好むってのは想像出来ないな。


そんな事を考えていたら、いつの間にか保健医は僕の目の前に立っていた。


そしてそっと耳打ちをする。


「そんなに桂さんの着替えがみたいの?」


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