将棋少女
「はいっ!?」
何を突然。
そう声を出すより早く視界の端に僕なんて元々いないみたいに普通に着替え始める香歩さんが映った。
「はいはい。桂さんが魅力的なのはわかるけど男の子は外に出てましょうね~」
保健医はどことなく楽しそうに、けれども僕はそんなのを聞ききる前に廊下に飛び出していた。
もうなんだったら僕の方が恥ずかしい。
確かにさっきから過激な格好を続けて挑発してるとしか思えなかったけど、保健医がいてもあれじゃあ……。
僕、本気で男扱いされてないのかな…。
人知れずため息が出た。
落とした視線の先に腕時計。既に長針と短針は次の授業時間をとうに過ぎていた。
時間的にはまだ始まったばかりだな。
こんなに長居するつもりはなかったんだけどな。