将棋少女



「別に、責められる様な事はしていませんよ」


君は、そうだね。


保健医は小さく相槌を打って続ける。


「君は桂さんの下にいた、状況から鑑みるに押し倒されたのは君だと言うことに嘘はないでしょうね」


僕は視線を保健医から仕切りを引いたベッドに目を移す。


「大丈夫だよ。桂さんって寝付きはスゴくいいから」


まるで思考を読んだみたいだった。


「ふふん。驚いたみたいねその表情は。一応これでも保健医だからね。忌避すべき事に抜かりはないよ?」


「……そうですか」


「だからね。教えてほしいんだ、君は桂さんと一体何を話してたのか。君は桂さんの何なのかを、ね?」


タン。


机に打ちつけられた万年筆の先は乾いた音を鳴らす。


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