将棋少女
香歩さんの陣には既に船囲いが形成されどんな形からでも攻められる形が出来ていた。
事実、香歩さんの攻めは徐々に横から上へと変化している。
僕はすぐさま4六歩、3六歩、4七金と構えを変化させ上からの攻撃に強い高美濃囲いへと変える。
「……嫌なら、止めてもいいのよ」
そう呟くように吐き香歩さんの攻め手は続く。
「いえ。僕は、香歩さんが許してくれるならもっと香歩さんといたいです」
「なら別にいいじゃない。今のままでも」
「それは、ダメです」
香歩さんの歩が僕の歩の正面に打ちつけられる。
盤面の開戦を告げる一手。
「僕は、香歩さんの特別でいたいんです」
僕の歩が、香歩さんの歩を討つ。