将棋少女



確証はまるでなかったけど、でも香歩さんの様子からすれば図星みたいだ。


これでもし仮に間違っていたら恥ずかしさで死んでいたかもしれない。


僕は言葉を続ける。


「香歩さん、僕はあなたの事が好きです」


もちろんそれはloveの方向で。


嘘偽りはどこにもない。


香歩さんは微動だにする事なく、ジッと僕を見つめる。


「……私は、人が嫌いなの」


「僕も嫌いですか?」


止まっていた盤面が再び動き出す。香歩さんの一手は、やはり単調な攻めの一手。


「例外は、ない」


攻め手を受け流す。


再三の攻めを、単調な攻めとは言っても必死に捌く。


そして幾度もの攻めの中。


ついにその時は来た。


僕の戦法、四間飛車とは簡単に言えば。カウンターを狙う戦法だ。


攻めのため、がら空きになった香歩さんの横っ腹。


打ち込こんだ桂馬は、香歩さんの雪崩のような攻めを止めた。


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