将棋少女



「なら、なんで香歩さんはあの時。僕を受け入れてくれたんですか?」


あの時。


初めて出会ったあの時。


香歩さんは僕を突っぱねる事だって出来た。


でも香歩さんは僕を拒絶しなかった。


だから僕はこうして香歩さんと一緒に将棋を打てる。


こうして会話が出来る。


香歩さんを好きになれた。


感謝してる。


僕は香歩さんに感謝してるのだ。


だから僕は香歩さんに恩返しをしたい。香歩さんに釣り合う人間になりたい。


だから僕は香歩さんに勝ちたい。


反撃の手を強める。


この桂馬はいわゆる両取りの形。


つまり相手がどう動いても桂馬は自分より強い駒と交換が出来る状態だ。


今は銀と角。香歩さんは当たり前だが角を逃がし、僕は銀を取る。


流れは、確実に僕に向いていた。


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