将棋少女
「は?」
「香歩さん、そう言うの嫌いだからさ。それに好きなら自分でやってくれ」
「いや、そこをなんとかさ」
「ならない」
言い切って僕は前を向き直る。
会話は終わり。そう告げる様に。
背中から舌打ちが聞こえたけれど聞こえない振りをしておく。
眺める黒板には、いつの間にか端から端まで白字が並び、今もまた増えては消されていく。
これはもうノートに書き写しても無駄だろうな。
後で誰かにノートを借りよう。
シャープペンをノートの上に転がす。
授業を放棄した頭が次に思考したのは昨日の棋譜だった。