1000文字の話。
『ゴブリンの匂いがする。』

リュイの言葉に、僕は立ち上がると、腰にある剣の柄を握り締めた。リュイに背を向け、森の中へと目を凝らす。

『大丈夫よ。微かに匂うだけ。多分数日前に、ここに居たんでしょう。』

剣の柄を握ったままリュイの方に目をやると、悪戯っぽい目で僕の行動を眺めていた。

『リュイ!』

ゴブリンへの恐怖心を覗かれたと思うと、何だかバツが悪い。

『ふふっ。ごめんなさい。でも匂いがしたのは本当。ゴブリン達の縄張りに入ってるって事よ。』

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