1000文字の話。
そう言ったリュイの黄色く真剣な目をみると、リュイの言葉が冗談では無いと分かる。

『…ゴブリンの<城>まではあとどれ位かな。』

『私に乗れば、日暮れには着く。』

日暮れか。
不意打ちを掛けるのには、丁度いい。

剣の柄から手を離すと、僕はリュイの薄黄色い腹の横に座った。

『ゆっくり食事出来るのも、これが最後かもね。』

『シオン、止める?』

『…止めないよ。』

僕だって、出来る事なら住み慣れた村に帰りたい。
でも僕にはもう、懐かしく思える場所はないんだ。

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