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――チュン チュン



「ぅーんっ…朝…?」



鳥のさえずりで目が覚めた私は

いそいで時計を見た。



「わっもう7時半っ!行かなきゃっ」


昨日帰ってきてから

そのまま寝ちゃったらしい。


「~ちこくだ完全に」


ばたばたと台所まで階段を降りると

机の上に書置きがあった。




『実樹ちゃんへ。お母さんは仕事に行ってくるので夜ごはんはあっためて食べてね。朝まで帰らないから、朝ごはんはトーストを食べてね。お金、机の上置いときます』



、こんな内容だった。




私の家は、母子家庭。


お母さんは夜の仕事で朝帰りが多くて

3日くらい帰ってこない日もある。


もともとお父さんが社長だったし、

土地持ちだったから、

お金はありあまるほどある。



けど、お母さんは落ち着かないから

こうやって、毎日仕事に行く。





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