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「…そっか!わかった!じゃあまたね」
上原さんは少し私をにらんで
将真くんに手を振って、行ってしまった。
「…で、実樹の話って?」
将真くんは私の前に立って
聞いてきた。
…『実樹』
名前で呼ばれることが
こんなにドキドキするなんて知らなかった。
心臓が止まっちゃいそうなほど
ドキドキして、顔が見れないよ…
「…わ、私!…将真くんに、な、名前で呼ばれるのっ嫌じゃないよ!!」
私はもってる勇気を
全部ふりしぼって言った。
将真くんは驚いて目を丸くして私を見ている。
…わざわざ言うことじゃなかったかな…?
「実樹?」
将真くんは私の頭にポンと手をおいた。
「ありがと」
嬉しそうに笑って、
私の頭をなでてくれた。