幸運の器
黒塗りの高級車。

その言葉に引っかかった。

何かが頭の中を駆け巡っている。

「匠、他に何か見なかったか?」

「えっ?うーん、そうだな……。あぁ、そう言えば!はっきりとは言えないけど、前に悠斗が道端で話していた着物姿の小さな女の子が乗っていたような……」

「それ、本当か!!」

「だから、はっきりとはわからないって。でも、あの子特徴あったから多分間違いないと思うけど……」

「ありがとう、匠!」

悠斗にはそれで十分だった。

「おい、悠斗!――」

何か言おうとした匠の言葉を聞かずに、悠斗は電話を切った。
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