幸運の器
その言葉に、悠斗の瞳に小さな光がともる。

その光は徐々に大きくなり、瞳いっぱいに広がった。

「なん、だって?葵は生きてるのか!?」

「はい。しかし、このままではいずれ命が尽きてしまいます。私の能力を使えば、ある程度の延命は可能ですが、それも以って3日と言ったところです」

「能力?」

龍ヶ崎の無表情が一瞬寂しげな顔を見せたように悠斗には感じられた。

「私も器喪失者なのです。そして――私の与えられた能力は『時を止める能力』」

「時を、止める?」

悠斗はオウムのように龍ヶ崎の言葉を繰り返す。

「はい。ですが、全世界の時間を永遠に止めるなどという大それたものではなく、ある一定空間の限られた時間だけです」
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