幸運の器
一磨は腕を組んで何かをじっと考え込むように目を閉じている。

その拒絶するような雰囲気に悠斗は、話しかけることができずエレベーターが止まるのをただひたすら待った。

エレベーターの行き先案内が最上階を指し示した。

そこでいったんエレベーターは止まる。

しかし、その次の瞬間にはまた上昇し始めた。

「えっ？」

悠斗は思わず声を上げていた。

最上階についたはずのエレベーターの不測の動作。

それより上に行けるはずがない。

もしかして、また下がっているのかとも思ったが悠斗の感覚では確実に上に向かっている。
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