幸運の器
一磨は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元の冷静な顔に戻った。

「それで、お前は自分が不幸になったとでも思ってるのか?」

悠斗の考えは全て見透かされているようだった。

「――安心しろ。お前の器はまだお前の中にある」

「えっ?」

思いがけない言葉だった。

「でも……」

「言ったはずだ。器を奪われたら不幸しか訪れないって。でも、お前はその後幸せに感じることが一度もなかったとでも言うのか?違うだろう」
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