幸運の器
そこには、相も変わらずカノンがこちらをじっと見つめたまま立ち尽くしていた。

その表情からは何も窺えない。


その姿を見て悠斗は、諦めに似た覚悟を決めた。

この少女の話を最後まで聞いてやろうと。


「おい、カノン!わかったよ、お前の話最後まで聞いてやる」


もう、すでにこの少女がただの小さな女の子という意識はなかった。


悠斗は、ゆっくりとまたカノンの元へと向かう。
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