幸運の器
一磨は語気を荒げると、テーブルを思いっきり殴りつけた。

その反動でコーヒーがテーブルに少しこぼれた。

「そんな…。でも、何か、何か手立てがあるんじゃないんですか?」

「ああ、だからお前なんだよ」

一磨はまた意味不明のことを言った。

「オレ、ですか?なんで、オレなんですか?」

「お前は、自分の器がどういう状態なのか知ってるか?」

悠斗は首を傾げるしかできなかった。

「俺は葵のことがあった後でも組織に残った。どんなに憎くても器の情報を集めるためには、組織にいるのが一番だったからだ」

「はぁ……」

「その中で、俺は極秘で動き回っているやつらを見つけたのさ。それで、俺は自分の能力を使ってやつらから情報を聞き出した」

「それが、オレのことなんですか?」

「最終的にはな。まず、最初にわかったのは特殊な器が存在するということだった」

「特殊な器?」
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