幸運の器
一瞬躊躇した後、意を決して中に入ろうと引き戸に手をかけると、それは音もなくするすると開いた。

そこに立っていたのは、金髪碧眼の美しい女性だった。

どこか、華音に面影が似ている。

この女性も高価そうな着物をきっちりと着こなし一部の隙もないように見えた。

「あの……」

日本語が通じるのか疑問だったが、悠斗には他に術はない。

「どちら様ですか?」

意に反して、その女性の口からはキレイな日本語が流れ出した。

「えっと、あの華音さんはいますか?」

悠斗はとりあえず、用件を言うだけ言ってみた。

「華音ですか?おりますが……。少々お待ちください」

それだけ言うと、その女性は奥へと引っ込んでしまった。
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