幸運の器
いったいこの屋敷の造りはどうなっているのだろうか?

広い屋敷の中は、縦横無尽に廊下が張り巡らされており、すぐに悠斗は自分がどこをどうやって歩いてきたのかわからなくなってしまった。

このまま一人にされたら、迷子になることは必至だ。

そう思っていた矢先、ようやく前を歩いていた女性は歩を止めた。

「お嬢様、お客様をお連れしました」

女性が中の人物に声をかける。

「ご苦労だった。下がってよいぞ」

「はい」

中から聞こえた声は確かに華音のものだ。

女性は悠斗に一礼すると、そのままスタスタと歩き去っていってしまった。
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