幸運の器
悠斗は胸を鷲掴みにされるような痛みを覚えた。

この少女をこんな風にしてしまったのは、紛れもない自分だったからだ。

「そろそろ来る頃だと思うておった」

華音は、そんな悠斗の思いを知ってか知らずか、いつもと変わらぬ口調で語りかけてくる。

「華音……ごめんな」

悠斗の口からは自然と謝罪の言葉が繰り出された。

「お主、そんなことを言うためにきたのか?そうではなかろう?」

華音は、そんなことは気にするなとでも言うように、話題をそらす。
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