幸運の器
悠斗は、体の力がドッと抜けていくのを感じた。

そのことで、自分がいかに緊張していたのかがわかった。

そういった意味では、匠の出現でこの状況に変化をもたらすことができ、救われたのだ。

匠には、昔からそういうところがある。

何か困ったことが起こると、いつもタイミングよく現れて、悠斗の力になってくれた。


「あのなー。匠、いくらなんでもオレがそんなことするわけないだろう」


匠は、悠斗のその言葉を聞いてほっとした表情に戻った。


「ああ、ゴメン。つい……」


「ついってなんなんだよー」


「あはは。悪かったって。――それで、その子は?」
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