幸運の器
終焉のとき
悠斗は、自分の母校の小学校に来ていた。

もう深夜に近い時間帯のためか、辺りには誰も見当たらない。

いい加減なセキュリティが、今の悠斗には有難かった。

校門を軽く乗り越えると、悠斗は小学校の中へと入っていく。

足は自然とある場所へと向かう。


5年2組の教室。


後ろのドアをそっと開くと、明かりのついていない教室は、窓から差し込む月明かりでぼんやりと中が見える程度だった。

前から3列目の窓際の席。

その席に座っていた人物が立ち上がり、悠斗のほうに振り返った。
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