幸運の器
「悠斗、僕たちが初めて出会ったときのこと覚えているかい?」

匠は穏やかな口調で悠斗に語りかける。

「出会ったとき…?あぁ、覚えてるさ。――忘れるわけないだろう」

悠斗と匠はこの教室で出会った。

二人が小学5年の時だ。

他校から匠が悠斗の通うこの小学校に転入してきた。

「僕はね、悠斗。最初はお前のことが憎くて仕方がなかったんだよ」

思いもよらない告白だった。

「にく…い?オレ、お前に何かしたか?」

匠を首を横に振る。
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