幸運の器
しばらく、葵はもちろん悠斗自身何が起こったのか理解できていなかった。

悠斗は慌てて葵から離れた。

「ごめん!オレ、何やってんだ?」

悠斗は、軽くパニックに陥っていた。

今まで、自分から求めたことなどなかったのに、葵を前にすると全ての調子が狂ってしまうようだった。

葵は、その場に凍り付いてしまったかのように微動だにせず立ち尽くしている。

「ホント、ごめん……」

葵に近づこうとしたその時、急に後ろから強い力で掴まれた。

「今の見てたぞ」

驚いて振り返ったそこには、見ず知らずの男がいた。

しかし、その男はこれもまた悠斗が今まで会ったこともないようなキレイな男だった。
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