幸運の器
「ま、それは今度のお楽しみってことにしておいて、何か悠斗について聞きたいこととかない？

僕は悠斗と付き合い長いから、悠斗のことなら何でも知ってるよ」

「はい、悠君から匠さんのことはいつも聞いています。なんだか妬けちゃうくらい本当にいつも匠さんの話ばかりするんですよ」

そうにっこりと匠に笑いかけながら、葵が答えた。

「何か遣りづらいなー、そんなこと聞かされちゃうと。

でもね、僕も最近は、悠斗から葵ちゃんの話ばかり聞かされてるんだよ。

昔から悠斗のことは良く知ってるけど、だからこそ本当に葵ちゃんのことが好きなんだなーっていうのがわかるんだ」

匠のその言葉に、葵は真っ赤になって俯く。

「こらこら、匠君。あんまり葵ちゃんを困らせないの」

あまりにも素直な反応に、祥子は苦笑しながらも助け舟を出した。

「でも、本当のことだからなー」

ちょっと肩をすくめながら、匠は姿勢を正す。
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