幸運の器
「お待たせー」

そこに、教授に呼ばれていた悠斗が戻ってきた。

「悠斗、教授なんだって?」

匠は、いつもの調子に戻って悠斗に聞いた。

「んー、それがさー。別に呼んでないって言われちゃってさ」

悠斗は、首をひねりながら葵のとなりに腰を下ろす。

「それより、何の話してたんだ?」

悠斗の言葉に、匠と葵は一瞬目を合わせ葵が何か言おうとしたところを、匠が遮った。

「いや、たいしたことは話してないよ。それより、今日の二人の予定は?」

悠斗は、そんな二人のやり取りに気づかない様子で、そうだなと考え込んだ。

「とりあえず、もう遅いから夕飯でも食べに行って、葵を送って帰るぐらいかな?」

匠はそれを聞くと、にっこりと二人に笑いかけた。
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