幸運の器
悠斗と葵は、匠たちに宣言した通り夕食を食べた後帰路についていた。

「なんか、今日はゴメンな」

悠斗は、ポツリと呟いた。

「えっ?なんで、謝るの?私、今日とっても楽しかったよ」

葵は、気を使ってではなく本心からそう思っていた。

葵のその様子に、悠斗はホッとした表情を見せた。

「そうか、それならいいんだ。オレ、匠には葵を絶対紹介したいと思ってたからさ。もし、困ったことがあってオレがいなかったら、匠を頼って大丈夫だから」

悠斗は、匠には絶大な信頼を置いている。

葵も、今日匠に会って悠斗の言っていることが嘘ではないと言うことが実感できていた。

「うん。そうする」

葵は、にっこりと笑ってそう答えた。
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