幸運の器
「おい、カノン。別に呼び捨ては構わないけどフルネームで呼ぶのやめてくれない?」
カノンは一度足を止めると、その一瞬は子供らしく不思議そうに首を傾げた。
「なぜじゃ?」
「なぜって言われてもたいした理由はないけど……。何となく嫌だから?」
悠斗のはっきりしない受け答えにカノンは再び馬鹿にするような表情になったが、仕方がないなという風に首をフルフルと振った。
「承知した。では、悠斗。改めてまいるぞ」
カノンを一瞬でも戸惑わせることができ、悠斗は満足気ににっこりと笑うとカノンの後を追った。
悠斗は、この目の前の日本家屋の中に案内されると思い込んでいたのに、カノンはそこを無視し、長い家屋に沿ってどんどんと横道を進んでいく。
暗くてよく見えないが、この広大な敷地の中には立派な日本庭園が広がっているようだった。
しばらくすると、その庭園の中に小さな離れのようなところが見えてきた。
どうやら、カノンの目的地はそこのようだ。
カノンは一度足を止めると、その一瞬は子供らしく不思議そうに首を傾げた。
「なぜじゃ?」
「なぜって言われてもたいした理由はないけど……。何となく嫌だから?」
悠斗のはっきりしない受け答えにカノンは再び馬鹿にするような表情になったが、仕方がないなという風に首をフルフルと振った。
「承知した。では、悠斗。改めてまいるぞ」
カノンを一瞬でも戸惑わせることができ、悠斗は満足気ににっこりと笑うとカノンの後を追った。
悠斗は、この目の前の日本家屋の中に案内されると思い込んでいたのに、カノンはそこを無視し、長い家屋に沿ってどんどんと横道を進んでいく。
暗くてよく見えないが、この広大な敷地の中には立派な日本庭園が広がっているようだった。
しばらくすると、その庭園の中に小さな離れのようなところが見えてきた。
どうやら、カノンの目的地はそこのようだ。